花歌―ハナウタ
山のような郵便物で、
ポストは溢れかえっていた。



入りきらない郵便物がポストの下まで積み上げてある。



ほとんどが請求書ばかり。


その中に、手紙らしき封筒が交ざってる。



見たことある文字。



―――お母さんからだ!



少し緊張しながら、ゆっくりと手紙を開く。



――『この前、携帯に電話をしたけど、つながらなかったので、手紙を書きました。
ちゃんとした生活をしてるの?

心配しています。

人に迷惑をかけるようなことはしないようにね。


結城は帰ってきたくないだろうけど、いつも心配しているんだから、そっちでまともな生活をしないとね。
口座にお金を振り込んでおいたから、使いなさい。

それで、携帯代も払いなさいよ。

たまには、元気に頑張ってるよくらいの電話をちょうだい。

       母より』




手紙を持つ手が震えた。



読まなきゃよかった。



何を期待してたんだろう。


心配してる?



結城は帰ってきたくないだろうから?



帰ってきてほしくないのはそっちだろうが!!



ムカつく…!!



ムカつく!!



大っきらい!!





手紙をその場に破り捨てた。





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