花歌―ハナウタ
部屋に戻ると、電気もガスも止まってた。



龍司と過ごして、
もう五ヵ月になろうとしていたことを、そのとき知った。



薄暗い部屋の中、



あたしは泣いた。




ひとしきり泣くと、
ふと冷静になる。



とりあえず、電気代と、
ガス代を払いに行くことにした。  



銀行には、20万が振込まれていた。



その足で、
携帯もついでに買い替えた。





今までの生活に戻るだけ。


自由になれたんだ。



龍司なんかいなくても



一人で大丈夫。



気の迷いだったんだ。







一人でも



大丈夫…




自分に言い聞かせるように


いつのまにか、あたしは歌を口ずさんでいた。






< 65 / 80 >

この作品をシェア

pagetop