花歌―ハナウタ

自分の気持ち




『…今日から働くことになりました、水谷結城です。


初めてのことだらけで、ご迷惑かけることもあるかもしれませんが、



どうぞあたたかい目で…?


…あたたかく見守って??


いや?



よろしくお願いしますでいいか??』



自己紹介の練習。



そうなのだ。



今日は初出勤の日。



あたしは朝から一人で緊張しまくり、鏡の前でアホな練習を繰り返していた。



でもなんていったらいいか、ワクワクドキドキするような、新鮮な緊張感だ。



こんな気分は久しぶり。



真新しい制服がなんだかぎこちなかった、高校の入学式を思い出す。





採用の電話がきたあの日、



あたしは母に電話した。



なんだかすごくうれしくて。



仕事が決まったこと伝えたら、喜んでくれるとおもったんだ。



でも…




返ってきた言葉は
期待してたものではなくて……


『パチンコ屋で働く?
よくそんなこと、報告できたな』


だと。


なんで報告してしまったんだろ


馬鹿な自分。



結果はわかってたはずなのに。
うちの親ってこうじゃんか。喜んでくれるわけない


あーー!
なのになんで!!




やっぱりどっかで期待してるの?


なんて言って
欲しかったんだろ



親としゃべると鬱!



もう考えない




新しい気持ちで



再スタートするんだ



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