花歌―ハナウタ




初出勤は
柄にもなくちょっと緊張。


でも面白い人が多くって

楽しく仕事できた




意地悪な先輩もいたけどね。




それ以上に仕事が、
楽しくて



そんな先輩、
気にもとめてなかった。



ザワザワした店内で
ふとよぎる龍司の顔。。



龍司によく連れていかれて、あたしはパチンコ覚えたんだったっけ。




それまでは、ギャンブルなんて縁もなく
こわい人がいるような勝手なイメージで近づいたこともなかった

それが今、
店員として働いてるなんて


不思議。。





龍司との生活は
まともじゃなかった。




普通に働いて
給料を貰い、



そのお金で生活する。




少なくともこのころまではあたしの金銭感覚も
正常に戻りつつあったと思う。



店の仲間と飲みに行ったり、




愚痴を言い合いながらも、
充実していた。



龍司のことを
忘れようとしてた。


休みも予定をみっちり入れて
忙しくすることで


思い出す隙もないようにしてた。



もともと
監禁から始まったような



歪んだ愛。



いや、

愛なんかじゃなかった。



龍司を可哀相に思った。



哀れみ。



きっと、



愛じゃない。





正常な生活の中、

あたしは



そう思いはじめていた。





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