花歌―ハナウタ
マンションに着くと、真由美が騒いでいる。



『うらやましぃーこんなとこで一人暮らしなのぉ超うらやましいよ!いいなぁ』



なんのことはない八畳のワンルームなんだけど、一応オートロックだった。



真由美はオートロックにいちいち叫んでいる。



『すげー!なんだよこれぇ。』



お前がなんだょと思いながら、おかしくなってくる。


そこまでいちいちうらやましがられると、悪い気はしなかったので、ほっといた。
 


家にあがると、相変わらず真由美は『いいなぁ〜』を連発していた。



その時、



グゥー



お腹が鳴った。



『結城ウケる〜!腹へってんの?』



そうだった。真由美から電話きてなんにもたべてないんだったっけ。



ついでに、財布には300円位しか入ってなかったことを思い出した。




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