ことば
その確信が間違いでなかった事は、2日後、購買で遭遇した大槻さんの一言で明らかになった。
次の講義に出る為に唯とジャンケンで席取りとジュース買いの役割を決めたのだが、昔からジャンケンが弱かった私は、案の定ジュースを買いに購買にやって来ていた。
唯の好きなロイヤルミルクティーと自分の100%オレンジジュースを手に、レジに並んでいた時だった。
「高木さん?」
背後から聞いた事のある爽やかな声で名を呼ばれ、振り返る。
「やっぱり高木さんや。」
そこには入学式のあの日と変わらない爽やかな笑顔の青年が立っていた。
「あ、こんにちは。」
ペコリと頭を下げ、何か会話をしなければと思いつつも気の利いた話題が思い浮かばない私に、大槻さんは相変わらず優しく尋ねた。
「写真撮ってる?」
やはりこの話題になるか…と思った。
そらそうだ。
普通に考えて一番自然な話題だ。
この人にとって私は、自分と同じ様に写真に興味がある人間に映っているのだから。
「えと、はい。ボチボチ。」
決して嘘は好きではないが、“嘘も方便”ということわざはこういう時の為にあるのだと思う。
「そっか。ええこっちゃ。いつでも部室遊びにおいでや。」
その爽やかな笑顔に少し罪悪感を覚え、うつむく。
しかし彼は変わらず明るい口調で続けた。
「そうや!高木さんが気に入ってた空の写真撮った人、こないだケニアから帰って来て今学校来てるし、良かったら会いにおいで。大抵部室におるから。」
その瞬間、思わず大槻さんの顔を凝視してしまった。
よっぽどおかしな顔をしていたのだろう。
彼はとても不思議そうな顔をしていた。
(やっぱり…やっぱりあの人が…)
次の講義に出る為に唯とジャンケンで席取りとジュース買いの役割を決めたのだが、昔からジャンケンが弱かった私は、案の定ジュースを買いに購買にやって来ていた。
唯の好きなロイヤルミルクティーと自分の100%オレンジジュースを手に、レジに並んでいた時だった。
「高木さん?」
背後から聞いた事のある爽やかな声で名を呼ばれ、振り返る。
「やっぱり高木さんや。」
そこには入学式のあの日と変わらない爽やかな笑顔の青年が立っていた。
「あ、こんにちは。」
ペコリと頭を下げ、何か会話をしなければと思いつつも気の利いた話題が思い浮かばない私に、大槻さんは相変わらず優しく尋ねた。
「写真撮ってる?」
やはりこの話題になるか…と思った。
そらそうだ。
普通に考えて一番自然な話題だ。
この人にとって私は、自分と同じ様に写真に興味がある人間に映っているのだから。
「えと、はい。ボチボチ。」
決して嘘は好きではないが、“嘘も方便”ということわざはこういう時の為にあるのだと思う。
「そっか。ええこっちゃ。いつでも部室遊びにおいでや。」
その爽やかな笑顔に少し罪悪感を覚え、うつむく。
しかし彼は変わらず明るい口調で続けた。
「そうや!高木さんが気に入ってた空の写真撮った人、こないだケニアから帰って来て今学校来てるし、良かったら会いにおいで。大抵部室におるから。」
その瞬間、思わず大槻さんの顔を凝視してしまった。
よっぽどおかしな顔をしていたのだろう。
彼はとても不思議そうな顔をしていた。
(やっぱり…やっぱりあの人が…)