甘い声で囁いて


ハッとした時には既に遅くて。


どうすればいいのか分からずあたふたしてるあたしに


お兄ちゃんはぽんっとあたしの頭に手を置いて。


それからくしゃくしゃっと乱暴に撫でまわした。



「お兄ちゃん?」

「いいから、こうされとけ」


チラッとだけ視線を合わせると


いつもの優しい声で

優しい笑顔であたしを見つめてくれる。


「お前は..ったくそんな事を悩んでたのか?」

「そ、そういうわけではないけれど..でも」

「結婚しないのはお前のせいじゃないよ」



お兄ちゃんの温もりが頭から全身に伝わって来る。



< 116 / 268 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop