甘い声で囁いて



「あ、もしかしてユージが余計な事言ってたのか?」


「んん..違う..でも」


あれだけ泣いたのに

どうしてまた涙が溢れてくるんだろう。



「大丈夫だよ。お前が心配する事は何もないから」


いつだってそう。


お兄ちゃんはそう言って


あたしを安心させて


遠くに行ってしまう。


「何か修学旅行の時思い出すな」

クスッと笑いながらそう言うお兄ちゃんに

あたしもあの頃にタイムスリップする。



中学の修学旅行も

高校の修学旅行も

必ず一緒に行くって泣きながらお兄ちゃんにお願いしてた。


< 117 / 268 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop