甘い声で囁いて
駄々をこねたあたしに
「大丈夫だから、な」
いつだってその言葉を残して
お兄ちゃんは出かけてしまった。
「実はな、振られたんだよ」
「え?」
現実に戻ったと思ったらすぐに聞こえたお兄ちゃんの声に
驚く。
「俺、結構情けない男なんだ。いつまでも...」
そう言ったお兄ちゃんの瞳は何処か切なくて
悲しげで
でもすぐに笑顔に戻ると
「さぁご飯にしよう。また遅刻するぞ」
「う、うん」
何だか煮え切らないままそれでもそれ以上の事は聞けない気がして
あたしも席に着いた。