甘い声で囁いて


「今日の事、黙っててやるから」


切符を買って改札口に向かいながらからかい口調で加宮さんが言った。


「別に話てもいいんですが..」


「言って大好きなお兄ちゃんに怒られるの、イヤだろ?」


「それは..」

そうかもしれないけど。


「でも!」


顔を上げたその時


いきなり重ねられた唇に体が一気に固まる。



..!?



「これで黙っててやるよ」


悪戯っぽい笑顔を見せてさっさと階段を駆け上がった。


「何よ、あの人!」


怒ってるはずなのに


体が火照ってる。


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