甘い声で囁いて
違う、これは暑さのせい!
絶対に違うんだから!!
ごしごしと唇を拭いてあたしも階段を駆け上がった。
ガタンゴトンガタンゴトン
電車は徐々にスピードを上げて次の駅まで走りだす。
加宮さんはこれからまた違う仕事に向かうから
ホームで別れた。
あの人本当に何を考えてるのかさっぱり分からない。
ふざけたり人をバカにしたり
イジワルしたり。
でも
あんな真剣な表情を見せたり。
頭の中でいつの間にか加宮さんの事がぐるぐる回って
それが分かった瞬間急に恥ずかしくなって
頭を左右に振る。