甘い声で囁いて
何度力いっぱい引き離れようとしても
やっぱり相手は男の人で。
「こうして頬に手を触れる事も出来るし..」
耳元に囁く声が
すごく甘くて
色っぽくて
体がびくんと跳ねる。
「こんなに近くで甘い言葉だって囁くことが出来る」
「でも、あなたは響君じゃないもん!!」
あたしの声に少しだけ力が抜けて一気に離れてリビングを飛び出す。
何よ、何よ何よ!!
あたしは響君が好きなんだもん。
響君しかドキドキしないし。
別に抱きしめてくれなくたっていいもん。
なのに。
どうしてこんなに体が熱くなるんだろう?
忘れたいのに。
思い出したくもないのに。