甘い声で囁いて
「みゅうちゃん?」
名前を呼ばれて瞼を開けると柚子さんが心配そうな顔で
あたしを見つめる。
車はいつの間にかあたしが伝えた場所に着いていて。
榊さんという人はずっと黙って話を聞いてくれたんだ。
「あたし、学校の帰りに、響君に会ったんです」
「みゅうちゃん..」
そう。
きっと神様はあたしに辛いから思い出さなくてもいいって
きっとそう言ってるんだ。
だから
思い出す必要なんてないんだ。
だって思い出せないってことは大したことのない事だと思うし。
「きっと加宮さんは何か間違ってるんですよ」
帰ったら思いっきり張り倒さなくちゃ。
あんなこと言って。