甘い声で囁いて
「だって何?」
「加宮さん、この前お兄ちゃんと友達じゃないみたいなこと言ってたから」
だから本当はどうなんだろうってちょっと気になってたんだ。
でもこの人はお兄ちゃんの事をよく知ってる。
「毎日一緒にいればそんなの分かるだろ?」
「そう、ですよね」
「さて、これからだけど。お前はどーしたいの?」
「あたしは..幸せになって欲しいです」
お兄ちゃんと美弥さん。
歳の差もあるけれど、でも此処まで乗り越えて来れたんだもの。
幸せになって欲しいよ。
「反対してるのはアイツの親だっけ?」
「う、ん」
「よし、お前兄貴に電話して今すぐ来てもらえ」
いきなりベンチから立ち上がり大きな声をあげる。
「ちょ、加宮さん?」
「行くぞ」
「行くって何処に?」
「美弥の実家だよ」