甘い声で囁いて
イケメン声優の願う事
「ちょっと、どういう事だよ!」
お兄ちゃんが少し怒った顔であたしに質問する。
そんな顔されたって
「しょうがないじゃん、加宮さんがそう言ったんだもの」
ちらっと視線を加宮さんに向けても当の本人はしれっとして
携帯をいじってる。
「お待たせいたしました」
女の人の声がしたかと思うとふすまが開いて
年配の男の人と女の人が入って来た。
アイツん家、超金持ちだからな、
加宮さんはそう言っていたけれど。
まさかこんなに大きな家だとは思いもしなかった。
確かに。
これじゃあ不釣り合い..ううん、何考えてるのよ、あたし。
「話とは何かね?今更話すような事は何もないと思うのだが」
正面に座って難しい顔をしている男の人が多分お父さん、
そしてその隣で困ったような顔をしているのがお母さんだ。
「いえ、自分は..その..」
もう!もう少し頑張ってよお兄ちゃん!!
ここまで来たんだからもうやるしかないでしょ!と背中をポンっと叩くと
「先日の話、やはり考え直して頂けないかと思い伺わせて頂きました!」