甘い声で囁いて



嫌な事もたくさんあるけれど。


それでもそらしちゃいけないって、加宮さんが教えてくれたおかげで。


今はちゃんと向き合ってる。


そうそう、この前あの時の“彼”に会ったんだけれど。

ちっとも何ともなかったの。


不思議だよね、あたし、あんなに死にたくなるくらい辛かったのに。


これも、加宮さんのおかげなのかな?




学校を出ていつものゲームショップに行くと、
見覚えのある顔のポスターが貼ってあった。


加宮さんも、相変わらず、忙しい日々を送ってるんだと実感する。


「どうしたの?」


美羽ちゃんが問いかけてきたけれど、あたしは視線をそらさずにポスターを見つめる。



「なんかさ、不思議なんだ」


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