<GREEN>

「あははははは!!」


荻君がいきなり爆笑しだした。


「ほら店長!!!
 やっぱそーなんですよ!」

「あ、水木さん気にしなくていいから!」


セキを切ったように、
荻君がしゃべりだして
ちょっとボーゼンなあたし。


「このコーヒー、
”コピ・ルアック”
 って言うんだけど、すげぇレアモノで高級なんだよ。店長一押しなんだけど、誰が飲んでも微妙で!」

「そんなことないでしょー!
 分かる人は分かる!」


と店長。


「あ、荻君!アレやってなかったからじゃないの?!」

「いやアレやっても絶対変わりませんて!」

「”アレ”って?」


会話が読めずにあたしが聞いた。


「”アレ”は、おいしいコーヒーを
 入れる時の”おまじない”で
 粉の真ん中に人さし指を入れて穴をあけて
 そこからお湯をそそぐんだけど、
 その時に、
       『コピ・ルアック』
 って唱えるんだ」

「へぇ~!かわいい♪」

「でしょ!でも荻君いつも嫌がるんだよね」

「いや、おいしさ関係ないですから!
 今日絶対 水木さん来たらコピ・ルアックだと思ってたんスよ。」


荻君は はぁ~ と
大きくため息を吐いた。


あ~だからあたしが店に来た時
ちょっとそっけなかったのかな?


「荻君。気持ちが大事なんだよ。気持ちが!」

店長が諭す。


「じゃぁ今度店長やってみて下さいよ」

「僕はいつもやってるよ☆」

「じゃぁ何も変わってませんよ」

「ロマンないなぁ~」


そんな二人のやりとりが少しカワイくて
あたしはちょっとニヤけながら
コーヒーを飲んでいた。

うん
やっぱり不思議な味(笑)











 





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