エングラム



駅前近くのファミレス。

空いていた奥の席に案内された私とバンド三人組。

とりあえず私と彼らは向き合う形で席についた。

「ごめんねぇキミ。予定とか大丈夫?」

彼らの真ん中に座る、キツネ目をした金髪ギタリストが私に尋ねた。

「あんなことは予定に入らないぞ」

私が答える前に、先程腕を掴んだ黒髪の彼が答える。

「…だ、そうなので予定はないです」

肩を竦めて私が答えた。

なんだか不思議な雰囲気になってしまった。

そう思った直後、

「お前が原因じゃないか」

また黒髪に言われた。

私が顔に出ているのか、彼が鋭いだけなのか、なんか短い時間のうちに慣れてしまった。

「シイ、そんな不機嫌にならないの」

亜麻色の髪をした少年が笑顔で言った。

なんて無邪気な可愛い笑顔なんだろう。眩しい。



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