エングラム
まったく珍しいですね、とキツネ目は笑うと私に言った。
「すみませんね、ご挨拶遅れましたが、私はユウ」
ユウ。私は心の中で呟く。
「で、こっちがケイ」
「ケイだよ、担当はボーカルとベース、よろしくね」
亜麻色の少年がにっこりと笑った。
唄っている時より幼く感じる。ケイ。
キツネ目──ユウ──は一度金髪の前髪を掻き分けて黒髪のバンドマンを紹介する。
「こっちがシイ、一番の年上のくせに何故か今不機嫌な」
「うるせぇ!」
シイがその言葉に噛み付いた。
「うわなんかすみません」
とっさに私が反応してしまった。
「いやいやシイが悪いから気にしないで」
亜麻色髪の少年、ケイが私に言った。きっとこの子は天使だ。
緊張などなく、軽く笑いながら私も名乗る。
「あ、すみませんシランです」