エングラム



「う、わぁ」

そこにはたくさんのピアスがじゃらりとついていた。

大きなピアスのせいで耳たぶは伸びていて、とにかくごつごつしていた。

少しゾクリと感じた。

「普段は隠していますがね」

ユウは笑うと再び耳を髪で覆った。

「すごい重そうですね…」

よく耳たぶが引き千切れないものだ。

「ふふっ」

私がそう言ったらユウが笑った。

そして目を少し見開いて──

「そこを言いますか、シランさん」

そう私に笑いかけた。

ユウの目の色、初めて知った。

「え、だって重たくないですか…?」

恐る恐る尋ねると、揺らしていた肩を止めてユウは言った。

「まず最初は痛そうって言われるかと思っていましたから」

再びユウは肩を揺らした。
この人の笑いのツボがわからない本当に。

「ほらもう、あの子たちが行きましたよ」

唖然としていた私にユウはひとつ声を掛けると、くるりと踵を返して彼らの元へ歩きだした。

さほど遠くない距離にいるケイが手を振った。


私もユウの後へ続いて、クラスペディアの方へ行った。



< 152 / 363 >

この作品をシェア

pagetop