エングラム
「う、わぁ」
そこにはたくさんのピアスがじゃらりとついていた。
大きなピアスのせいで耳たぶは伸びていて、とにかくごつごつしていた。
少しゾクリと感じた。
「普段は隠していますがね」
ユウは笑うと再び耳を髪で覆った。
「すごい重そうですね…」
よく耳たぶが引き千切れないものだ。
「ふふっ」
私がそう言ったらユウが笑った。
そして目を少し見開いて──
「そこを言いますか、シランさん」
そう私に笑いかけた。
ユウの目の色、初めて知った。
「え、だって重たくないですか…?」
恐る恐る尋ねると、揺らしていた肩を止めてユウは言った。
「まず最初は痛そうって言われるかと思っていましたから」
再びユウは肩を揺らした。
この人の笑いのツボがわからない本当に。
「ほらもう、あの子たちが行きましたよ」
唖然としていた私にユウはひとつ声を掛けると、くるりと踵を返して彼らの元へ歩きだした。
さほど遠くない距離にいるケイが手を振った。
私もユウの後へ続いて、クラスペディアの方へ行った。