エングラム
ケイは楽しそうに言い返す。
「女子中学生に手を出したらおっさんに入るよう」
「年齢カンケーねぇし!全国の歳の差カップルに謝れ!」
ぽかーん、と見ているのが私で。
くつくつと肩を鳴らしているのがユウ。
「さぁ話を元に戻しましょう」
ユウが二人の間に入り、それぞれの肩にポンと手を乗せる。
「で。バンドコンテストの話はどうしますか」
「僕は出たいと思ってるよ」
ケイが直ぐに答えて、ベースをぐぉおと吠えさせた。
「お前はどうだ?」
シイはユウにそう尋ねると、エレキドラムの間に座る。
スティックをくるりと回して、スネアドラムで音を連ねる。
音の行進。たったかたったか。
「私は良いと思いますよ」
ユウは頷いて、パッヘルベルのカノンを超絶テクで弾いた。
うわぁどれだけやったらこんな弾けるんだろ。
「ならオレもやろう」
ユウのギターに合うように、シイはスティックを踊らせる。
「んじゃあデモテープだの書類だのは僕やっとくねー」
ケイはベースを外しチラシを見る。
──その表情は。