エングラム



え?と私は聞き直す。

「オレたちのバンド名。クラスペディア」

不思議な、響き。

クラスペディア。
ひとつそう呟くと、体の中にストンと収まった。

しかしまるで──…。

チラリとシイを横目に見た。
視線が、合う。

なんだろう、人の心が読めるんじゃないか。

「…読めるんだ」


シイが自分の額に手をあてた。
目を少し伏せて、もう一度言葉をなぞる。

「人の心が読めるんだよ」



< 17 / 363 >

この作品をシェア

pagetop