エングラム



なんの能力とやらか分からないが怖い。いやまじで。

「…えっとシイさん」

私は少したどたどしく彼を呼んだ。

「シイで良い」

それニックネームみたいなもんだから、と彼は続けた。

え、年上っぽいのに良いのかな。

そう思った時、シイが口元を上げて言う。

「21歳」

「うわまた心読まれたぁ!?」

私の反応を見てクスクスと笑うシイ。

ユウもケイも笑っている。

「ちなみに私は17、ケイは15です」

ユウが笑いながら言った。

「私は…14です」

そう言った時、へぇと一つ、ケイが頷いた。

「年下だったんだあ、大人びて見えるねぇ」

「あ、どうもですケイさん」

私は軽く頭を下げる。
あははとケイが笑う。

「ケイで良いよ?っていうかお兄ちゃんって呼ばれたいなぁ」

アーモンド型の目が、楽しそうに細められる。
いやこの可愛さは、むしろ弟って感じなのだが。



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