エングラム



「シランさん、おはようございます」

私の姿を認めたユウは私に声をかける。

「おはようございますっ!」

ユウの元まで走り寄り挨拶。

ユウは、はい、と私の挨拶を受け取ると言葉を続ける。

「ケイには早く来てほしいんですがね。上着を預かっていて」

ユウはそう言うと、持っていた黒い上着を私に見せた。

控えめに付けられた金色の刺繍。
クラスペディアの彼らがいつも纏っているものだ。

「…え…ケイが?」

「はい。ユウの洗濯は完璧だからお願いねと言われて」

見ればケイのジャケットは、アイロンまできっちりかかっている。

「確かに」

ユウ自身が羽織っているジャケットも、きちっとしている。
うん確かに完璧だ。私もお願いしたい。

「……ところで暑くないですか?」

シイが以前に言っていた通りに、確かに薄手で通気性良さそうだが、長袖だ。

「えぇ。暑いとまでは。まだ早い時間ですしね」

まぁユウには、暑いという単語が似合わないし。
それらしい答えに相槌をうった。



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