エングラム



いっそう音が外れたところではみんな大爆笑。

その曲が終わるとまた別の人が発表し、と。

そして結果を発表しますとアナウンスが入った。

空気が変わって、言葉を、待つ。





──最優秀は三年四組、ひめゆりの塔。





その言葉に、当のクラスは湧きたった。ある意味。

「えぇええっ!」
「嘘だぁっ!」

stand by meが最優秀だろそこ!とひめゆりの塔を歌い最優秀したクラスが喚く。

アナウンスが静かにと諭し、この雰囲気に言葉を投げ入れる。

「歌い方がヒューマンドラマのようだったのがポイント高かったそうです」

どういう意味だ。

釈然としなかったが、とりあえず体育館中が笑った。なんて型破りな理由だ。

「泣いて良かったな!」
「諦めながら歌ったかいがあった!」

良いのかそれは。
そう言いながら喜ぶクラスに苦笑した。

「最優秀とりたかったー!」

そう言いながら拍手を送った。

そこでたまたま、委員長と目が合った。

──お疲れ様。

そう言われた気がして、頷いてから視線を外した。



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