エングラム



教室に戻ってからは、笑っていた雰囲気は消えみんな大号泣。

私も泣いて大丈夫かな、と心配するよりも先に私も涙を流していた。

ぐずぐずと鼻をかむ音や微かな嗚咽だけが響いて、

「最後に一本締めして終わろう!」

委員長が学ランの袖で目を擦りながら言った。

「指揮者やれて良かったわ!みんなありがとうございました!」

にっと笑う委員長の名前が叫ばれたり、ありがとうと声があがる。

「では──…お手を拝借」

私もならい両手を胸の前に出す。

「よーおっ」

パンッ!と綺麗に揃った歯切れの良い音。


そしてそれがまた一つ、思い出になった。





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