エングラム
「シランちゃーんっ」
シイと話していたら、ケイが手をふりながら駆けてきた。
うわなんか眩しいぜ!
笑顔がキラキラだよ、ケイ…。
「久しぶりだねっ」
ケイはそう言うと、私の両手をとって上下にぶんぶんと振った。
「はい、久しぶりです」
相手の笑顔で自分も笑顔になるのは当たり前で、私もつい笑顔になる。
「ケイお前片付けは?」
頭一つ分低いところにあるケイの顔を見て、シイが言った。
「シイこそ」
二人の言葉に、私は先程ステージとなっていた場所を見る。
あー…。
そのままやん。
ギターやベースはケースに入ってますがアンプだのはあれじゃん。
そこにいた金髪のユウが私の視線に気付いて手を振った。
私はぺこりと頭を下げ、それに答える。
「聴きに来てくれたんだねぇ」
ケイが私に笑いかけた。
シイに言われて、と野暮なことは答えない。
「前に聴いて、また聴きたかったんですよ」
これだって本当だ。
「そう、良かったぁ」
「はい本当に」
そう私が良い終えると、げふんっと、シイが何か言いたそうに咳ばらいした。
「何?」
ケイが尋ねたが、シイは私を見て言う。
「シランこの後暇か?」