エングラム
「……………やっぱ恥ずかしいからイイ」
「………うわぁそうですか」
言ってほしかったです、と喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
悩むように宙を見てから、シイが私の頭に手を置いた。
優しく彼は私の髪を撫でた。
「伝わるだろ?」
言葉がなくても人の心が分かる彼は、言葉をなしに私に伝えた。
あぁそうだ伝わると、私はひとつ頷く。
「じゃあいったん、あいつらんとこ行くか。──…!」
シイの手が頭から離れたとき、思わずその手を掴んでしまい、シイが驚いた顔をした。
「あ、いえ…」
自分を弁護しようとして出かかった言葉は、悪戯っけな笑顔に遮られる。
「仕方ないな。繋いでほしいならそう言え」
そういう訳じゃないですもん、と言うことは繋がれた手が大きくて言えなかった。