エングラム
「シランと同じこと言うな!二度聞いたことだそれ!」
ユウがそうでしたか、とシイに言った。そして私を見て気が合いますね、と笑い掛ける。
シイがじっとこっちを見ていたのに気が付いて、顎に手をあてた後私は彼に言う。
「シイはいつから芸人を?」
「ふざけんなシランお前」
「すみませんふざけただけです」
即答した私に、ふんとシイが鼻を鳴らす。
「シイは吉本でお笑い目指してるんじゃないよ、だからお笑いのネタじゃない」
可愛らしいボーイソプラノでケイが言った。
「大抵の作詞はシイなんだ、だからそのネタ…みたいな」
へぇ、と私は頷く。
じゃあシイは働いてるのかなぁ、それともプロのドラマー目指してるのかな。
「知りたいか?」
「いや読まないでくださいよ」
「シイ大好き、って三回言ったら教えてやる」
言葉を返そうとした時に、ユウが笑って言った。
「シランさんに素直に言われたら赤くなるくせに」
うるせえ、と顔を手で覆ってシイは小さく言った。
あ、照れてる。
私の頬も、少し赤く染まった。