エングラム
気が付いたらやっぱり隣にはシイがいて、電車待ちで駅のホームにいた。
「あの人に約束、守らせられなかった…」
ガヤガヤとうるさい中で呟いた言葉が拾われる。
「ん、そうか」
人の心が読めるという彼は、きっと私の考えてることなどお見通し。
「ちょっと愚痴って良いですか」
返事はなかった。だがそれを肯定と受け取る。
まだ電車は来ない。
駅のホームはうるさい。
「またいつかって言ってた。結局いつかは来なかった。いつかって言わないで欲しかった」