エングラム
ものを口に含んでいるから仕方ないのだけれど、沈黙。
それが、私がいるから盛り上がらないだとかそういう思考に捕われる。
なんか、やだなぁ…。
自分から話し掛けるのが怖くなった。
こんな話題興味ねえよ、とオウ兄に言われたら死んでしまいたくなる。
いや、もう。既に。
死んでしまいたい。
ひどく簡単なことで、死んでしまいたいと感じる。
命の大切さを実感できるようなセカイじゃないんだし──…。
ココロノナカ、溜め息。
死にたいと思うけど生きてる。
みんな思ってるだけ。
実は生きていたいだけ。
意味を求めて自分の首を絞めるのも生きていたいから。
「美味しい?」
不意に、オウ兄が私を見る。
「あ、うん美味しいです。ありがとう」
「なんかあったなら、聞くよ」
真剣で優しい目。
「テストの点数が悪くて」
そう答えて肩を竦めた。
何でもないよ、と答えるよりもこう答えた方が上手く隠せるからだ。
「そうだよなあ、僕も中学生の頃は特に」
隠すのが上手過ぎて、自分が嫌になる。