洒落にならない怖い話
「行くよ・・・よぉーい、どんっ!」


なんでそんなに明るい。


内心半ベソ状態で走り出す。


神社の脇を抜け、松の木へ。


反対側から彼女が走ってくる。


手を振ってるし、笑ってる。


周りには何も見えない。


霊の姿なんてどこにもない。


彼女とすれ違いざま、彼女の「全然(見えない)」という声だけが聞こえた。


1周目はつつがなく終了。


そのまま2周目、3周目に突入。


1周目で何も見えなかったこともあり、俺も心に余裕ができ、向かってくる彼女に手を振ったり「いねーじゃん!みえねーじゃん!」と笑いながら叫んだりしていた。


対照的に彼女は、2周目、3周目と数を重ねるごとに笑顔が消え、すれ違うときも無言になっていた。


「このぶんだと、8周したって全然おk」


そう思いながら迎えた7周目。


彼女が俺とすれ違う瞬間、強烈なラリアットを俺にかました。


不意の急襲に喉をやられ、悶絶する俺。


彼女は苦しむ俺の手を強引に引っ張り「早く!」と神社から逃げるように走り出した。
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