不思議の国のお伽噺。



むーに近寄り、手を伸ばす。

むーは、私を見て首を降り、後ろに近づく。



「来ないで来ないで来ないで来ないで…!!!!!」



むーは、目に涙をためて私をにらむ。
その瞳の奥にとらえられた私。むーは、瞳で、心で、なにかを訴えていた。


その訴えが、私に強く突き刺さる。




「来ないで」

『た……て…』



「来ないでよ」

『たすけ…』



「こな、いで…」

『たすけて…』



「来ないでアリス…!!」

『助けてアリス』





心の声が、目を合わせたそのときから、聞こえたきがした。

たすけ、て??






救いだす方法などなにも浮かばず、私は目をそらす。



でも私が、貴方を救うと約束したから。



顔をあげ、むーに一歩ずつ近寄る。

拒否されることは分かっていても、私は強くあなたを抱き締めた。




「ッ!!ア、リスッ…!?」











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