不思議の国のお伽噺。

mp.1 お茶会と、その門番。




目を覚ますと、辺りは一面真っ暗だった。



私はまた船の上に乗っていて、チェシャ猫は、私をずっと見つめていた。



「おはようアリス。」



「チェシャ、猫?


私…そんなに寝てた?」



あたりは、満月が上っていて、夜だということが分かった。



私が倒れたときは、まだ朝だったから、こんなに寝ていたのかと驚いてチェシャ猫を見つめ返した。





「いや、1、2時間位だよ?なんだか、国境を越えたら急に真っ暗になってね。


きっと、ここは姫が歪んでずっと夜になっちゃったんだろうね」




チェシャ猫は、顎に手をあて思案げに呟く。そんな姿を、私はただ見つめていた。




「あ、アリス。そろそろ降りるよ」




チェシャ猫は船を岸に寄せ、先に降りて私に手を差し出す。




私も岸に上がり、そのまま、歩き出した。





























「チェシャ猫…どこまで行くの?」



「そろそろつくよ」



あれからずっと、私たちはあるいたまま。


少し変わったところといえば、急に、白と赤のバラの塀が、ずっと続いているということ。






「このバラ。何で白と赤なのかしら。」



そして触れたとき。



「アリス!ダメだ!」




チェシャ猫の制止の声がかかった。



止めるのが少々遅く、もう私は、白バラに




触 れ て い た。











.
< 125 / 159 >

この作品をシェア

pagetop