不思議の国のお伽噺。
mp.1 お茶会と、その門番。
目を覚ますと、辺りは一面真っ暗だった。
私はまた船の上に乗っていて、チェシャ猫は、私をずっと見つめていた。
「おはようアリス。」
「チェシャ、猫?
私…そんなに寝てた?」
あたりは、満月が上っていて、夜だということが分かった。
私が倒れたときは、まだ朝だったから、こんなに寝ていたのかと驚いてチェシャ猫を見つめ返した。
「いや、1、2時間位だよ?なんだか、国境を越えたら急に真っ暗になってね。
きっと、ここは姫が歪んでずっと夜になっちゃったんだろうね」
チェシャ猫は、顎に手をあて思案げに呟く。そんな姿を、私はただ見つめていた。
「あ、アリス。そろそろ降りるよ」
チェシャ猫は船を岸に寄せ、先に降りて私に手を差し出す。
私も岸に上がり、そのまま、歩き出した。
「チェシャ猫…どこまで行くの?」
「そろそろつくよ」
あれからずっと、私たちはあるいたまま。
少し変わったところといえば、急に、白と赤のバラの塀が、ずっと続いているということ。
「このバラ。何で白と赤なのかしら。」
そして触れたとき。
「アリス!ダメだ!」
チェシャ猫の制止の声がかかった。
止めるのが少々遅く、もう私は、白バラに
触 れ て い た。
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