不思議の国のお伽噺。
「はいどうぞー♪」
「…、ぼ、帽子屋?」
私の前に差し出された、ティーカップには、何も入っていない。
「何も入ってないじゃない?」
「フフフ♪さすがアリス♪」
そういって、高い位置からティーカップに紅茶を注ぐ。
私はただ見てるだけ。
「アリス、クイズをだそう!」
「へ?」
「夜が明けると朝が来るやろ、それはどうして」
「そんなの、この地球が回ってるからに決まってるじゃないの」
そういうと、帽子屋は、にんまり笑った。
「ぶうううう!!
正解はなあ、世界の人々が、明けない夜はないと信じているからやねん」
「訳が分からないわ…」
そのとき私の頭によぎったのは、古い記憶。
無邪気に問題を出す、帽子屋に私は、
"狂ってる"
と、告げたのだった。
「お褒めの言葉おおきに。
あけない朝に価値はない、そう思ってるから、おてんとさんも出てきてくれるンや」
「フフフ、おかしいわね。
あなたの理論は」
そういうと、隣に座っている三月ウサギが立ち上がり、笑顔で私言う。
「そうだー!
アリスアリスー!
オレのコトなんて呼んでたか覚えてるう?」
「…三月ウサギ?」
「違うよー!
なんでそんな白ウサギみたいにフルネームで呼ぶのー?」
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