不思議の国のお伽噺。
mp.4 絶望の館。
海を後にし、歩き出す。
物騒なくらい静かで、少し肩を震わせた。
「あれー?
アリスじゃ…ない?」
「その声は…、ネムリネズミ?」
「ぴーんぽー…ふわああ」
「どうしたの?」
「ううん、さんぽしてただけだよー?
…、あれ、猫は?」
身構えたネムリネズミは、すぐに姿勢を整える。
「トランプになっちゃった…」
ポッケのトランプを出して、苦笑すると、ネムリネズミは眠たそうな目を見開く。
「…、そう…
査定の時間か…」
「え?何?」
「ううーん…アリス、一人で寂しくなーい?
せめて…今向かっている場所に…だけでも案内してあげようか?」
「本当に?
実はね、迷子になっていたところなの…」
ちょっとはにかむと、ネムリネズミも笑っていた。
「君は……一人になると危ないからねー…」
「え?」
「アリスは…どうしていつも…猫が付き添ってるか…、考えたことある?」
「それは、案内してるだけじゃないの?」
「それもあるよ…
でもねー…もう一つ理由があるんだ…」
「なーに?」
「アリスは、オイシイの。」
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