不思議の国のお伽噺。




何を言ってるのだろうか。



瞳から、戦意と狂気の色は消え。さっきまで私を殺そうとしていた両手は自分の顔を包んでいて。私に罵声を浴びせていた口からは、嗚咽の混じった言葉が紡がれていた。




「あなたに与えられた、私のシナリオ…っ


私がめちゃくちゃにした…!!


私のせいで…っ!!


アリスが元に戻らなかったら私のせいじゃ!!」




かぐやの口調が変わっていく。
そしてかぐやはひとしきり泣いて立ち上がった。




「…かぐや。

シナリオって何…?」



「…まだ、おもいだせとらんのか…



シナリオとは…うっ!!!!」




かぐやが突然苦しさにもがきだす。


なに!?



よく見ると、かぐやの首には手がある。
手から、誰が首を絞めているのかと腕をたどる。


…だが。



かぐやを絞めている手は、私から見てまっすぐに伸びている。




そう。


かぐやの首を絞めているのは。





…私、だった。





「ア…リス…!!」




「お前、分かってるのか?お前が途中でネタばらしたら私がこの国出てった意味なくなんだよ
ただでさえ私が作ったシナリオをまっとうできなかったくせに


まっとうできないと思ったらネタばらし?


罪の償いでもしようと思ってるわけ?

ムダムダ。
あんたがやったことはずっと忘れずに生きていくからね」





自分の口から、饒舌に言葉が紡がれる。



わたし、こんなこと、いいたく、ない








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