不思議の国のお伽噺。
友達の名前はわかるけど顔はわからない。
だけど、自転車をもって笑うその顔は
「チェ、シャ猫…」
小さく呟くと、根岸光輝は少し体を跳ねさせこっちを見た。
そして私を視界にとらえた瞬間目を見開く。
『ア…リス…』
「え…?」
『光輝?どうしたの?』
髪の毛は茶髪だけど、Yシャツの緩い着方、耳にピアスとして着けた鈴。そして、一房だけ入ったピンクのメッシュ。
根岸光輝は、愛莉に話しかけられたことによって、自転車をおし進めていった。
私は後ろからついていく。
それからは、面白いことばかり。
私に関わった人皆が私の友人や先生として現れていた。
そして、私を見て目を見開く。
そのあとはぎこちなく生活する。
そして友人の名前や思い出がダイレクトに私に入ってくるのだ。
記憶は繋がり、新たな私の記憶になる。
根岸光輝(ネギシ コウキ)
彼はチェシャ猫。
私の席のとなりに座る女子、
出光 栞 (イデミツ シオリ)
彼女は、染められた金髪を下に下ろしタバコをくわえながらだるそうにしている外見からもわかる通りに、シンデレラ、だ。
彼女は、母が死んでから父が再婚した相手からの嫌がらせに困っていた。
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