不思議の国のお伽噺。

md.1 またもう一度始めたい。









目を覚まして目の前に広がった顔は私の望んでいた人の顔ではなかった。





白い肌、赤い瞳。ひどくきれいに笑うあなたの顔。








「おはよう、アリス」

「…、ここ、は…」

「帽子屋のところだよ」







カスカスの声で質問すれば、ひょうひょうとした声が返ってくる。




帽子屋邸…ああ、私、かぐやのところから戻ってきたのか







なんて呆然と思考を巡らせていると、さらに近い距離になった








「っ、うわっ!」

「まだ気分悪い?」

「い、いや、大丈夫…」






顔が離れたから私も起きる。すると起きたと同時に扉が開いた。







「やあ帽子屋さん。アリスは今目覚めたよ」

「…っ、アリス…」

「?」

「ちょい…こっち来い」

「…うん?」







いつもヘラヘラしてる顔ではなかった。それはとても深刻そうな、痛そうな顔。


わたしは不思議に思いながらも彼のところに歩み寄った











.
< 159 / 159 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:4

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

小話帳
有栖。/著

総文字数/13,378

詩・短歌・俳句・川柳33ページ

表紙を見る
最期の時
有栖。/著

総文字数/1,521

恋愛(その他)10ページ

表紙を見る
追いかけられて
有栖。/著

総文字数/4,270

恋愛(学園)14ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop