不思議の国のお伽噺。
紫にピンクなどのメッシュが入った無造作な髪。長い髪は横で赤いリボンに結ばれている。そして、中心には鈴がついていた。
切れ長の目。白いダボダボのTシャツ。ダホダボのGパン。
遠くから見ても分かる、緑と青のオッドアイに吸い込まれそうだ。
…でも、猫なのに耳はないね。…尻尾も。
彼は突然言い出した。
私を…殺した相手?
私は、殺されたの?
ア「憎く、ない」
頭では思考がついてかないのに、口は勝手に動く。
私は何を考えてるの?
自分でも分からない。
チ「ほんとに憎くないの?
殺されたんだよ?」
彼は、私を咎めるように目を細める。
そう、非難してる。
ア「憎くないよ、」
チ「どうして?」
その言葉を聞いたら、私の目からは涙がボロボロと溢れた。
ア「愛しい、から……!」
愛しい?
愛しいの?
私はその人を愛してた?
その瞬間、チェシャ猫という人は目を見開いた。
それと同時に私には、頭を鈍器で殴られたような感覚が襲った。
…そうだよ、私は愛してた。
愛しいんだ、彼が。
私は、いとおしかった。
彼のことが…愛しかったの…
何かが決壊したように溢れる。
…でも、愛しい彼の容姿や記憶は、思い出せなかった。
ただ、愛しさと言う気持ちだけが溢れていく。
チ「アリスは復讐を望まないんだね。
だったら僕らはいなくてもいいじゃん」
(※ア=アリス=私)
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