不思議の国のお伽噺。
やる気の無さそうなあかずきんの目が、いっぱいに開かれた。
カゴを、下に落としあかずきんの目から、絶望が零れていく。
紅い瞳が映すのはダレ?
私は、横にあった窓を覗く。そこには、アリエナイ光景が広がっていた。
茶色い耳が、茶色の髪の毛の間から生え、目のつり上がった赤い瞳の少年が立っていた。
彼は、おばあさんの近くにいて、おばあさんの横で、鋭い牙を光らせていた。
鮮血の…
おばあさんの血を滴らせて。
私は、口を押さえた。
何かが込み上げる感覚。
血に塗られた惨劇の小屋。
じっと見ているのは辛かった。
「何…して…」
聞こえたのはあかずきんの声。
震えているのが声だけで分かる。
「何って…こいつを食ってたのさ。
お腹が減っていたからね(嘲笑)」
小屋の窓から、再び覗いた私。
彼は、指でおばあさんだったものを指した。
口についた血を袖でぬぐいながら。
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