不思議の国のお伽噺。



――――――――…



私は、見覚えのある部屋にいた。



そこにはもう一人女の子がいた。



私なんか見えていないように、部屋をドタバタと走り回る。



『ああ~!!遅刻しちゃうよおっ!!!』



これは…紛れもなく…



「(私…だ)」


後ろ姿だけでわかる。



これは、この世界に来た時の私の姿…。


うずく頭を押さえ、私はワタシを凝視する。



制服を着こなし、髪の毛を整えている、ワタシ…。



肩までの短い髪は、ふわふわとカールが掛かっている。
明るい髪色、切り揃った前髪。



ドレッサーから立ち上がり、こっちを向いた彼女…



私が、長い間鏡で見てきた…懐かしい顔をしていた。




















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