不思議の国のお伽噺。
ア「…ねぇ、私はなんでアリスなの?」
ふと、海沿いの砂浜を歩いているとき、彼に聞いた。
これは、〝貴方はどうしてロミオなの?〟並の無謀な質問だ。
でもチェシャ猫は。
チ「…違うの?」
正面から聞いてきた。
ア「だって私の名前はアリスじゃないよ?」
チ「じゃあ…名前はなんなの?」
チェシャ猫は、歩いていた足を止めて、振り向き聞いた。
私の名前?
私の、ナマエ…
空っぽの脳みそをフル活用させ、必死に無い記憶を辿る。
…!、思い出した!
ア「私は、藤荻愛莉!
愛莉だよっ!!チェシャ猫!!」
(フジオギ アイリ)
私は笑顔で、少し背の高いチェシャ猫に言った。
チェシャ猫は、目を細めた。
ア「思い出せた!思い出せたよ、チェシャね「アリスがひとつ取り戻した
またひとつ世界が滅びてく」
チェシャ猫は歌い出す。
私の声を遮って。
ア「世界?…え」
チ「ねぇ、アリスはこの国が好きかい?」
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