不思議の国のお伽噺。
「!…、あ、猫…」
「お久しぶりです、プリンセス.ハーフグレイ」
シンデレラは、チェシャ猫を見ると、アリスの肩から手を離し、自分の頬をポリポリとかいた。
「あー、なんだァ…、うーん」
気まずそうに目を泳がせるシンデレラ。
「アリスがいなくなったこと、色々せめられてたけどよ…
アタシはあんたを責めないよ。
何より、アリスはここに帰ってきてくれた。
それだけで充分だ、これ以上は望まねェ」
シンデレラは私より身長が高い為、私は上目にシンデレラを見た。
「まァ、表のアタシは色々アンタに言うだろうが、本心ではそう思っちゃいねェ。
他の国の奴等もそうだ、本心では、強く思っていない。ただ、アリスを心配するあまり、だ。
裏のやつが強く言うなら、表は隠してる。アリスを傷つけないために。
でも、裏のヤツはそれを忘れる。だから、無意識にアリスを傷つける行動をとってしまう。
表が守りに入ってる体勢なら、裏は攻撃的だ。
逆の場合もな。
アリスが心配すぎての八つ当たりだ。
帰ってきてからも、自分が出てきてるってことに、安心を覚えつつ、不安が混ざる。
結局、皆、アリスが大好きなんだよ
もちろん、このアタシもな」
シンデレラは、私の頭に手をのせ、笑う。
「それに、あんたを責めてもアリスは泣くだけだしな?」
ニヤリと、妖しく笑ったシンデレラは、凄いかっこよかった。
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