不思議の国のお伽噺。
…あの二人が仲良く見える君っていったい…



しーちゃんは笑顔だけど、顔に青筋が浮かんでいた。


王子様は、ニコニコしてる。





-舞踏会の外からの目線-



「お美しいわね、あの二人!」


「王子様と…あの女性は一体?」


「分からないわ…」



うっとりと、見つめる女観衆。








-その頃の内情-



「はっ、俺様の嫁になれ!(笑顔)」


「だが断る!(笑顔)」


「断れると思ってんのか?(笑顔)
もし断っても、
国で総力上げて探し求めてやるぜ(笑顔」


「ぶっ殺す!(笑顔)」



そんなことが起こってるとは知らない、女観衆であった。













「…、あ…時間が…」



広間にある時計は、11時55分をさしていた。
私は呟き、しーちゃんを見た。



すると、しーちゃんは走り出す。


あと五分もあるのに…



シンデレラを追う王子様。



あ、かっこいいな。



「待て!まだ名前も聞いていない!」



走ることをやめないシンデレラ。

王子様は、追い付こうと走る。



「おいこら待ちやがれ!
こっちが待てっつったら待つのが常識だ!この口悪女!」



すると、シンデレラはこけて靴が外れた。



「っ…!!」



「おい、大丈夫か!?」



駆け寄ろうとする王子。
必死に逃げるシンデレラ。




「来んなクソ王子!

何で来んだよ!」



「お前が気に入ったからだ!

言わなきゃわかんねぇのか!?」





今思った。
王子様俺様だ。




「わかんねぇよ!!

思いは言わなきゃ伝わんねぇんだ!

そんなことも教わってねぇのか!」



そう言いながら馬車に乗り込むシンデレラ。


王子は立ち止まり、下を向く。



…諦めちゃうの、かな?


















「好きだっ!」







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