不思議の国のお伽噺。
アリスSide.



「しーちゃんっ、しーちゃんっ!!!!」



涙が止まらなかった。



しーちゃんのよさを分かってくれる人ができたのに。
それを奪った、私の歪みが。

辛いのはしーちゃんなのに、私はずっと泣いていた。


ごめんね、無力で、何もできなくて。


メイドを殺して、泣き叫んだしーちゃん。


優しいアナタだから、人を殺した辛さと、今までの辛さが出てきたんでしょう?



「しーちゃん!しーちゃんっ!!」



しーちゃんの頬に私の涙が落ちてく。



ごめんね…、なにも…できなくて。




「しーちゃん!」



「…ん」



「しーちゃ…しーちゃん…」


意識が戻ってきたしーちゃん。私はしーちゃんを強く抱き締めた。

しーちゃんに少しかかった灰は、血に染まってた。




「アリス…」



「何…?」



目を開けた瞬間、私を見て、君は微笑んだ。



「ありがとな…」



「なんで…?

私、なにもしてないのに…
なんでお礼を言うの…?」



「…一人は、嫌いだった。

なのに、自分から、一人になろうとしてた。

そんなアタシに、アリスは、たくさんのモノをくれた。


もともと、こんな負の塊に、幸せなんて訪れちゃいけなかった。でも、アリスは、アタシに、幸せを見せてくれた、感じさせてくれた。


だから…ありがとう…」




光に包まれる。腕のなかで消えていく、私の親友。



「幸せになっちゃいけない人なんていない!!

しーちゃんだって、例え裏の存在だとしても、幸せになることは許されてるんだよ!!


それに、しーちゃんは一人じゃない!!」



しーちゃんが目を、見開いた。



「私が、私たちがいるからっ!!」



涙が伝ったしーちゃんを抱き締めた。





「ありがとう…」




物語に関わったモノ、すべてが光となり。

中央に集まった光は、弾けて消えた。




さよなら。
…私の親友。











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