不思議の国のお伽噺。
私は、勢いよく振り返りかおをあげた。
思いきり、怒りの二文字が浮かんでいる。
…どうやら、払い除けられたことが気にくわなかったようだ。
『あたしはね、幼い頃から大人たちばかりの空間に入れられて、まだ言葉も分かんない頃から会議に同席させられるのよ!?
大人たちの顔色うかがって、息1つ飲み込むのも許されないような時間。
そんな場に入れられる私の事情だって分からないじゃない!
人の事情なんか、その時々の場に同席しなきゃ分からない、話をしただけで分かるわけなんてないのよ!
貴方の方が怒りに我を忘れてる、よほど大人気ないんじゃない!?』
オサナイワタシつえぇー。
てんちょーは、唖然としていた。
『アリス様アリス様アリス様…
もううんざりっ!!!!!!!
みんな国のためだけに仲良くなろうとあたしを利用してっ…誰も、あたしのことなんて見てくれないんだからっ!
怖いから、自分があたしに殺されないようにっ…予防線をはってるだけなんだぁぁぁあっ!!!!!』
あたしは膝をついて号泣。
てんちょーは、私を見つめ、我にかえると、荷物を下において私の元に来た。
『アリス…って…君は…君はこの国の、姫のアリスかい?』
私は、泣きながらかおをあげた。
『そうよ…』
『なんで、町に降りてきたの?』
『…お城は退屈なの。
母様も父様も、遊んでくれないし、チェシャ猫は…あたしに、心を開いてくれない…』
『…チェシャ猫?』
『…あたしの、一番大切な人っ』
すると突然、てんちょーは、私の頭を撫でた。
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