不思議の国のお伽噺。
『…っ』
『…何?
あたしの暗殺命令?』
『…よ』
『?何よ』
『助けてくれよ!!!!!!!!!!!!!!!!』
静寂の中、彼の声が響き渡った。
俯いた顔を上げて、私を見る。
『!』
その双方の目には、涙が伝っていた。
『な、にが』
『もういやだ、いやなんだよ!
俺たちもぅ、限界だ…!』
いやだ、いやだ、それの繰り返し。
これじゃ、まともに話もできやしない。
…、それに、今さっきの大声で、誰かが来てしまうかもしれない。
『落ち着いて、まずはそのナイフをしまいなさい』
まだ私の胸の上にはナイフが置かれたままだったりする。
…まだ刺されてはいないが。
私がそういうと、彼はナイフを床に投げ捨てた。
それを合図に、私もゆっくり起き上がる。
彼も布団に座り込んだ。
『…で、話せるかしら?』
目を見れば、焦点があっていなかった。
イカれてる。イカれてるよ、この子。
私には彼の泣いてる意味がよく分かってない。
まあ確かに、ただ泣かれただけじゃ状況なんか読み取れやしない。
私は、今の状況に、ただ唖然とすることしかできなかった。
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