不思議の国のお伽噺。
『俺達は、孤児だ』
一言目から、私はあんぐり口をあけてしまいそうになった。
『孤、児?』
『ああ。
それで、孤児には、里親ができてくれることもあるだろ?』
木々のざわめきしか聞こえない。
私は彼の言葉を、下を向いて聴いている。
その言葉に、静かにうなずいた。
『そ、うね』
『俺も、里親に引き取られたんだ。
その人は良い人で、俺の友達のネムリネズミとか、兄弟とか、たくさん引き取ってくれた
なんでも、その人と奥さんの間には子供ができなかったらしくてさ。
俺たちは、たくさん甘やかされた。
その人には、感謝してもしきれない』
『う、ん』
『だけど、突然…その人は暗殺されたんだ』
…は?
『なんか、殺人現場を見られたとか、なんとかで。
奥さんも一緒に、逝ってしまった』
つい、顔を上げた。
すれば、シルクハットの彼は、膝を抱えてた
『俺たちに幸せは来ないと思ってた、でもその幸せを与えてくれたおじさんが殺されてから、あの日から…!
俺たちには地獄しかまってなかった』
強盗、証拠隠滅、殺人、拉致。
引き取られたのは、おじさんたちを殺した犯人。
その人たちに良いように使われてる。
『一回、逆らったんだ
そしたら、目の前で俺の仲間が殺された。』
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