不思議の国のお伽噺。
『!ほんとに!?』
もとから、子供が好きな父と母だ。
きっとOKしてくれると思っていた。
『ああ。
未来の可能性の子供をそんな風にするのは、わが国の恥、そして許してはいけないことだな』
『それともう一つ』
『…言ってみなさい』
『俺が…?』
『ええ。』
私は、さっきの話の子を孤児院の院長にしたいといったのだ。
父は快諾してくれた。
『…何故、俺をそこまで信じる?』
『?』
『何故、もっと疑わないんだ』
『…』
確かに、昨日のあの状況じゃ、彼を疑うことの方が妥当だったかもしれないな。
でも、私は。
『パパから、人は信じることから始まると、教わっているの』
振り返って笑う。
風呂に入れさせて、綺麗な服に着替えさせ、シルクハットを被った彼。
(シルクハットも外すように言ったのだが、あれはおじさんの遺品らしく、拒否したのでやめた。)
帽子のつばを押さえ、深く被った彼。
彼の口元が緩んだのを、私は見事に見れなかった。
『信じてくれて、ありがとう』
.